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●車椅子利用者の悩み、1台の車椅子で全部生活するってどうなの?

■こんにちは、PSプロダクツの川畑です。

今年もあっという間に年の瀬ですね。今年最後のメルマガということで、わたしたちの仕事、「車椅子作り」について考えてみたいと思います。
車椅子作りとは、「車椅子や座位保持装置が必要な方に、必要な機材を提供すること」


写真:車椅子作りの様子。写真に写っているのが川畑です。
私たちの仕事は「車椅子や座位保持装置が必要な方に、必要な機材を提供すること」です。
この仕事は、お客様の要望を聞くことから始まります。それは、使用目的や使用環境、身体状況など必要なことはもれなく聞き、作成するイメージを具体化していく作業とも言えます。
この過程で、熟練の人とそうでない人との差が明確になります。

お客様の「真のニーズ」を製品に落とし込む


熟練の人は身体状況はもちろんですが、家族や関係者との細かな関係性や、在宅での生活状況、ユーザーの服や積載する荷物、色使い、動きの特徴など、言語にしづらい部分を感じて、それを言葉や記号や数値化して製品の中に落とし込んでいきます。
一方、まだ熟練のレベルに達していない場合には、単に発語された言葉のみに反応して、言葉を忠実に記録し、それをもとに製品を生み出します。

違いは、仮合わせの時に表れる
熟練しているか否かの違いは仮合わせの際の、お客様の反応に如実に表れます。「私の希望していたものと近いものができた」と喜んでいただけるか、「イメージしたものと全く違う・・・」と大きな失望を与えてしまうか。こういう、おもてに現れづらい部分を私は「隠れたニーズ」、「真のニーズ」と呼んでいます。
人が言葉にするものはその方の実態を正確に反映したものではなく、「こうありたいな」という願望や、「こうだったのに」という過去への執着だったりする場合もあります。そこが理解できると、個別製作という最も困難な仕事においても、満足していただける可能性が高いといえるのです。

本来は、場面に応じた「専用車椅子」が必要

さて、車椅子作りという私たちの仕事にとって、「真のニーズ」を探ることの大切さはこれまで書いた通りですが、それでも実現できないことがあります。
それはあらゆるニーズをマルチに満たす万能車椅子の製作です。
たとえばリビングにダイニングテーブルとダイニングチェアーがあり、TVを見るのに座り心地の良いソファがある。お風呂に入るときは水はけがよく濡れても良い素材で作られた浴槽椅子がある。また、勉強や仕事をするときは、座面が水平もしくは若干前傾できるような事務椅子を使用している…つまり、「日々の生活を送る」ということは、その「生活の場面に応じて椅子を細かく使い分けている」のです。

たった1台の車椅子で生活の全てを賄うことが出来るのか?

健常者は、多少椅子のサイズが合っていなくても、身体機能で調整が可能です。
しかし、車椅子や座位保持装置ユーザーはどうでしょう。
下肢麻痺や片麻痺、機能障害など様々な身体状況があり、しかも、環境への身体調整力は健常者よりは制限されている場合が多いです。
何が言いたいかというと、補装具支給制度における一人1台支給の原則というものがあるのですが、今見たようにそれだけでは到底不十分ですし、そうした現状の制度設計には甚だ首を傾げざるを得ない、ということです。
果たして、たった1台の車椅子で生活の全てをまかなうことが出来るのでしょうか?

「補装具原則一人1台支給」の制度には疑問が残る
「補装具原則一人1台支給」は定められてからすでに半世紀が経過しています。
そろそろ、世界第3位の経済大国日本にふさわしく、制度設計を見直す時が来ているのではないでしょうか?
補装具費支給制度自体は私自身は世界に誇れる日本の素晴らしい制度であると思います。
また、必要な方に必要な車椅子や座位保持装置を供給することは日本社会全体にとって良いことであることは間違いありません。ただ、現行制度では本来あるべき社会の姿を実現するものになっていない。それは一体全体なぜなのでしょうか?
これはわたしがずっと考えていることではありますが、次回はちょっと、このことについて掘り下げて考えてみたいと思っています。
***
今回は「車椅子作り」において大事にすべきこと、わたしたちのお仕事やお客様の日常に深くかかわる日本の制度についても考察してみました。
PSプロダクツは車椅子作りや福祉制度に深い知見を持ち、車椅子を通じて皆様の生活と人生を幅広い領域でサポートしていけるよう日々努めています。わたしたちのお仕事も、まずはお客様の「真のニーズ」を探ることから。ぜひ、どんなご相談でもお気軽にお声がけください。
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